お知らせ

8月25日始業式での学校長式辞

16.08.25

平成28年度 大阪成蹊女子高等学校 第2学期始業式式辞

 
今年の夏は、記録的な暑い夏でした。そんな中、今日は皆さんの元気な顔を見ることができて、私はたいへんうれしく思います。
1学期の終業式で、皆さんに、「この夏休みは普段できないことにチャレンジし、いろいろな行動を起こすチャンスである。行動を通じて、いろいろな面で成長してください。」と述べました。さあ、この夏休みを振り返ってみて、皆さん一人ひとりの成長はどうだったでしょうか。また、自己発見や、何かに感動するものがあったでしょうか。
 
この夏の最大のできごとは、先日まで行われていたリオのオリンピックでしょう。私はこの大会に参加した選手の皆さんから、多くの感動をもらいました。そして、この感動とともに人の可能性は無限である、また、人のすばらしさを改めて認識することができました。
地球の反対側で行われた水泳や柔道、体操、卓球、バドミントンなど数え上げるとキリはありませんが、各種目で私たちは感動する場面がありました。特に、日本では、オリンピックで4連覇、4回金メダルをとったレスリングの伊調選手や、欧米の国にはかなわないと言われ続けていた陸上の400Mリレーでの銀メダルや、バドミントン、卓球などメダリストたちの並々ならぬ努力で、成果をだし、私たちの期待に応えてくれました。
 
とりわけ、私が感動したのは、皆さんもTVで見たかもしれませんが、女子陸上競技の5000mで、競技中に転倒したニッキさんと、アビーさんの行動です。オリンピック選手としてのお手本、人としてのあるべき姿を見ることができました。
競技の途中で、倒れたニッキさんにつまずいて、後ろを走っていたアビーさんも倒れます。その時、痛みで崩れ、泣いているニッキさんにアビーさんは「私たちは最後まで走らなければならない」と励まし、一緒に走ろうとするのです。しかし、実際は励ましていたアビーさん自身が、靭帯を断裂していて、走れる状態ではなかったのです。そして、お互いに励ましあい、アビーさんはニッキさんの肩を借りて、共にゴールします。そして、お互いを称えあいというシーンに、世界の多くの人々が涙したのです。
 
この時の動画がありますので、見てください。
 
オリンピックで金や銀、銅メダルを取るというのは、大変な努力が必要であることはいうまでもありません。メダリストは、何年もかけた努力の成果として、金メダルや銀メダルを手にするのです。大いにその努力を称えたいと思います。
一方、テレビなどのマスコミは、何個のメダルを獲るとか、何色のメダルかと、争う場として報道しがちです。しかし、近代オリンピックの本来の精神とは、争い、競い合うことではなく、国籍の違い、宗教の違い、肌の色の違いを越え、人と人がルールを守り、競技を通じて繋がり、お互いを理解し、敬うことであると思います。不幸なことに、今の世界では争いが絶えません。人のつながりが大切であることを世界中に示した、ニッキさんやアビーさんは、「心の金メダル」を得た人だと思います。このような人たちが増え、世界の人々が互いに助け合い、敬うことができる世の中になって欲しいと願います。
2020年の東京オリンピックでは、外国からたくさんの人々が日本に来られます。皆さんには、困った人には声をかけ、ニッキとアビーさんのように勇気をもって助けることのできる人に成長してもらいたいと思います。それが、本校の建学の精神である「忠恕」の精神です。皆さん方は、人のために尽くすことのできる生徒である、「心の金メダリスト」になれる人だと私は思っています。
 
この2学期、もうすぐ文化祭があります。また、いろいろなコース行事や、2年生には修学旅行があります。すべての生徒が、お互いに助け合い、「忠恕」の精神を育み、すばらしい行事にしてくれることを期待しています。
また、本校のグローバル教育の一環として、台湾やオーストラリアの研修に向けた募集も始まります。是非、積極的に参加してもらいたいと思います。以上で、2学期始業式の講話とします。
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