7月20日終業式での学校長式辞
16.07.20
平成28年度 大阪成蹊女子高等学校 第1学期終業式式辞
今日は1学期の終業式です。今年の夏は例年以上に暑い夏になるといわれています。今回も、暑さ対策もあって2・3年生と1年生で別々の体育館で終業式を行っていますが、次の2学期からは1年生がいる第二体育館でも、第一体育館での映像が流れるよう設備を整える予定です。
皆さんにとって、この1学期はどうだったでしょうか。1年生の皆さんにとっては、とても早い4か月間だったのではないでしょうか。4月の宿泊研修に始まり、5月の体育祭でも、クラスが一丸となってまとまり、よくがんばってくれました。9月の文化祭でも、活躍を大いに期待しています。
2年生、3年生の皆さん、先日の球技大会では、熱戦を繰り広げてくれました。球技スポーツには、得意な人と、そうでない人がいます。全員で行うこのような大会では、すばらしい個人のプレーも大切ですが、クラスがまとまって全員で応援し、一生懸命試合に臨むことが何より大切で、それを見事に実践してくれました。
さて、今日は「人の行動」について、宇野千代という女性の話を紹介します。宇野千代さんは、98歳まで生きられた著名な大正・昭和の小説家です。最初は小学校の先生になったものの、勤務校で同僚の先生と恋愛関係になり、当時の社会情勢から免職になります。その後、女性として旺盛な行動を取り続けた女性実業家で、そのため元祖「肉食系女子」と言われており、結婚離婚は10回以上だそうです。
この人は長寿で98歳のとき、『私何だか死なないような気がするんですよ』という名の愛嬌あるエッセイを書いています。その直後、残念ながら他界されています。このエッセイの中で、「小説は誰にでも書ける。そのコツは、毎日、ちょっとの時間でも、机の前に座ること。」と言っておられます。つまり、書こうと思っているときだけ机の前に座るのではなく、毎日、机の前に座ることが秘訣だというのです。もちろん、本当に机の前に座っただけで、すぐに小説が書けるとは思いませんが、座ると言う繰り返しの準備行動が、脳を刺激し、脳の思考を必要なモードに切り替え、様々なアイデアを生み出してくるのでしょう。
宇野さんは「人間の思考は、行動によって引き出される。つまり、考えてから行動するのではなく、行動することで思考を引き出すこともできる。だから、どんなことでも、先ず行動することだ。」と言っておられます。
更に「人生とは面白いもので、何か行動すると、またそのあとに、新しい行動がまた生まれるものです。」とも述べておられます。まさに、ご自身の生き方を表した言葉だと思います。皆さんの日々の生活の中で、学習や部活動、友達との関係など、一歩踏み出したいと思う様々なステップが必ずあります。しかし、踏み出す勇気も、タイミングもない。そんな時は、失敗など何も恐れず、とにかく最初の1歩を進んでみましょうというのが宇野さんの考えです。まず、行動することができれば、後はもう心配なしというのです。
この夏休みは、皆さん方は、いろいろな行動を起こすチャンスです。卒業後の進路に向けて大いに受験勉強しなければならない人、部活動などで試合や大会、コンクールに勝とうという明確な目標を持つ人、また、自分の経験を増やして一回り大きく成長したい人には、それぞれの目標に向かって大いに行動できるチャンスです。少なくとも安全安心を第一にして、宇野さんのような行動力のある女性に近づくこともいいのかもしれません。
この夏休み、是非有意義なものにしてください。皆さんの成長と行動力を期待して、1学期の終業式の式辞とします。