3月19日終業式での学校長式辞
16.03.19
平成27年度 大阪成蹊女子高等学校 第3学期終業式式辞
本日、平成27年度第3学期の終業式を迎えました。
学校の一年が今日でひとまず終わることになりますが、1年前の4月、1学期始業式で私はアメリカ人の有名な詩人サミエル・ウルマンさんの「青春の詩」という夢と希望の詩を紹介しました。その中で、「夢と希望が人を作る」ことをお話し、皆さんとともに大阪成蹊女子高校が大阪一、日本一の女子校になってほしいという希望をもっていますとお話しました。
そして、今年の入試では、その夢が現実に近づき、本校の志願者はおよそ1500名、恐らく新入生は、近年最大となる700名近い生徒が入学して来ると予想されます。実際に、これだけの生徒に入学していただけると、6年連続大阪一の入学生を誇る女子高校になるわけですが、全国に女子校が280校ある中で、恐らく西日本で最大規模、西日本一の女子校になるのではないかと思われます。この人気は、本校で学ぶ皆さんが、すばらしい生徒であり、12月の学校評価アンケートで、本校での学校生活が楽しいと回答してくれた人が90%に達したように、生徒の皆さんの満足度が、本校の人気をつくりあげているのだと、確信しています。成蹊プライドは皆さん自身が作り上げています。
学校としては、たくさんの生徒が入学してくれることに対応して、教育環境の向上や、学校行事の工夫を検討しています。4月から美術コースは美術科に昇格します。これは、大阪府内の私立高校としては初めての専門学科で、美術教育の充実に向けて、美術の実習を行う3階建てのデザイン棟を芸術学部の横に建設し、夏休み明けから使えるようにしたいと思っています。また、他のコースのクラス増に対応して普通教室の増設も行っています。
加えて、教育の中身の充実に向けて、台湾をはじめとして、皆さん方が海外に出かける機会を増やそうと思っており、それに伴う使える英語力の向上に向けた取り組みも検討しています。英語が苦手でも、海外でレストランやショッピングできる力を育てたい、使える英語力の育成をーも本校の大きな特色にしたいと思っています。4月の始業式で、詳しくお話する予定です。
さて、寒い日や暖かい日が交互にやってくる季節になりました。
しかし、確実に桜のつぼみは膨らんでおり、4月には満開になることでしょう。私の家は、河内長野の高い山の麓にあるのですが、小さな庭があります。結構、山から野鳥が飛んできます。可愛い目をしたツグミ、きれいな鳴き声のウグイスなどたくさんの小鳥が飛来します。そして、植えた記憶のない、万両の木などが自然に可愛い若木となって葉っぱを伸ばしていることがあります。きっと、野鳥が種を運んできたのでしょう。植物の種子は、動物のお腹の中を通ると発芽しやすくなるというのです。一応、私は理科の教師なので、考えてみると、種が動物のお腹を通るとき、お腹の消化酵素などの化学物質の作用で種の表面がきれいに浄化されるとともに、種自体が活性化されるのでしょう。
10年以上前に、庭に名前のわからない若木に気づいたことがありました。数年たって、葉や枝振りからコブシの木かなと見当はつきましたが、一向に開花しないので自信はありませんでした。小鳥が運んできたものも縁だとおもって大切に育てました。しかし、十年たってもなかなか咲かなかったのです。私の背丈になったとき、昨年の春、わずか4つの蕾が膨らみ、ようやく白い、可愛い花が咲きました。結果的には12年もかかって、種から木になり花が咲いたのです。今、まさに満開、ようやく大人の木になってくれたのです。大切に育ててよかった。きれいな花を咲かせるまでになってよかったと、大変感動しました。そして、大切に育てたことが、小鳥たちの恩返しになると思ったのです。
皆さんは、若いのですから、勉強も、スポーツも、芸術活動も、いろいろ取り組むことができます。きっと、他にもやりたいひとがいっぱいあるでしょう。しかし、すぐに結果を求めたり、目の前の結果にとらわれて悲しんだりする必要は全くありません。ものごとを成しえるには、長い年月がかかるのです。大きな目標、難解な目標になればなるほど、時間はかかります。まず、長い目で見て、頑張り続けること。その結果、きっと、きっと、綺麗な可愛い花が咲くことでしょう。
4月から、新しい年が始まり、多くの新入生とともに高校生活が始まります。1年も長い目で、目標を立てて、じっくり取り組むことが大切です。
皆さんの頑張りを期待して、3学期終業式の式辞とします。