お知らせ

2月23日卒業式での学校長式辞

18.02.23

大阪成蹊女子高等学校 第70回卒業証書授与式式辞

 
学園正門の紅白の梅は、卒業式を祝う如く、今見事に咲き誇っています。季節を告げる花々は、確実に春の訪れを身近に伝えてくれています。
 
このような佳き日、大阪成蹊女子高等学校第70回卒業式を挙行いたしましたところ、日頃より本校教育活動にご支援を賜ります後援会、PTA、蹊友会のご代表、加えて、本学園の大阪成蹊大学、びわこ成蹊スポーツ大学、大阪成蹊短期大学の学長、副学長の先生方には、ご多忙の中、巣立ちゆく本校生の門出を祝福していただき、心よりお礼を申し上げます。ありがとうございます。
 
卒業生は、ただ今卒業証書を授与しましたとおり、キャリア進学コース195名、幼児教育コース117名、美術・イラスト・アニメーションコース59名、スポーツコース31名、キャリア特進コース24名、計426名でございます。
本校のこれまでの卒業生の総数は34890名、本校の前身である成蹊女学校の時代を合わせると、およそ4万名を優に超える卒業生を世に送り出したことになります。
卒業された諸先輩は、豊かな家庭を築かれているほか、多くの卒業生が社会で活躍されており、本校で学び、身に付けられた力を存分に発揮されておられます。
あらためて本校の85年の伝統と歴史を感じるとともに、卒業される皆さんの門出をお祝いいたします。
 
ご多忙の中、ご列席いただきました保護者の皆さまは、さぞかしお喜びのことと拝察し、心からお祝い申し上げます。
本校は、大阪府内の人気のある私立女子校として、今春の募集を含め、長らく入学者数第一位を誇っています。
本学園の建学の精神を踏まえ、大規模校でありながら一人ひとりを大切にし、人間力を高めるという教育方針は、「女子に特化したキャリア教育」を柱として自己を肯定するとともに、女性としてふさわしい生き方を育み、女性としての品格の形成を重んじてきました。私たち教職員一同は常に生徒に寄り添い、生徒たちへの支援を通じて、高校生活が充実したものになるよう精一杯努めてきたつもりです。
時には厳しい指導もありましたが、生徒への愛情を忘れず、全力を挙げて生徒たちを導いてまいりました。そして今、生徒たちが、大阪成蹊女子高校の卒業生の名に恥じないまでに成長を遂げ、自信を持って世に送り出すことができますことは、私たち教職員の大きな喜びでございます。
その間、本校の学校運営に対して、PTAの皆様より温かいご理解とご支援をいただきましたことに、厚くお礼申し上げる次第です。
 
さて、卒業生の皆さん、ご卒業おめでとう。
皆さんとは、毎月、月はじめの全校朝礼では、たくさんの講話をさせていただきました。
今日の最後の講話は、本学園の建学の精神である「桃李成蹊」を踏まえた人間力の育成を図るプラス思考について、お話をしたいと思います。
 
今、短大・大学を含む学園全体で、「人間力の育成」を重要な教育目標としています。
私たちは、本校の日々の学習に加えて、特色であるキャリア教育と様々な教育活動の中で、皆さんの人間力を育んできました。
とりわけ、8年前に大阪では先駆的役割を担った本校独自の科目「キャリアデザイン」では、自己と自己の在り様を見つめ、自己を肯定する態度を育成してきました。
授業の中では、困難な場合でも自分を信じ切り拓く力を身につけること、また失敗してもあきらめず、努力を惜しまないことなど、いわば、これからの生き方に不可欠な、将来につながるプラス思考の考え方を学んでくれたと思っています。
 
科学的な、少し難しい話になりますが、大脳生理学的には、私たちの脳は1日に5万回もの自己対話をしていると言われています。
つまり、今日は何をしようか、今日は何を食べようか、今日は友達と何の話をしようかなど、頭の中で、無意識に自己対話をし続けています。
この自己対話は、私たちの潜在意識に入り込み、個人の思考や行動の基礎になっているそうです。
そして、この5万回の自己対話の内容に、プラス思考が多いか、マイナス思考が多いかで、その人の考え方が左右され、行動を変えるというのです。
その結果として、無意識の中の自己対話が、その人のすべての行動を決し、人格を形成するとともに、人間力を決定するというのが、脳科学者の見解になっています。
では、無意識の自己対話の中で、どのようにプラス思考を反映させていけば、プラス思考の人間力が育つのでしょうか。
 
そのヒントは、今、多くの感動を与えてくれている冬季オリンピックで大活躍している女子スピードスケートの高木美帆選手の言葉にも表れていました。
2010年のバンクーバーオリンピックでは、35人中の最下位、前回のソチオリンピックには出場権も取れなかった高木さんが、今回のピョンチャンでは、見事に3個のメダルを勝ち取られています。
周りからの祝福を受けながらインタビューの中で「どん底を経験した自分が、あきらめず、頑張った自分に、努力した自分になれた。自分で自分自身を褒めたい」と話されています。
高木選手は、努力を重ね、努力した自分を誉め、自分に感謝しているのです。まさにプラス思考のお手本です。
 
皆さんは卒業後、様々な場面で自分の行動を選択し、決定する場面に出会うでしょう。
その時、自己対話の中でプラス思考をもち、精いっぱいの努力をしてください。
そして、その後、努力している自分を誉めることを忘れないでください。
自分を信頼し、自分を誉め、自分に感謝することは、自分の行動がプラス思考になる大きな原動力になるのです。
プラス思考の人間力をもつことが、目標の達成や、人生の成功に繋がると思います。
これからの長い人生、苦しいことがいっぱいあるでしょう。もしかしたら、苦しいことの方が多いかもしれません。
しかし、どんな場合でもプラス思考を忘れず、努力を惜しまないでください。そして、努力する自分を誉めましょう。
作者不明ですが、皆さんに「私に感謝」という私の好きな短い詩を紹介します。
 
私は私の人生の主人公
私のことを、もっと、もっと知らなくては
自分が本当に努力した人生はとても、すごいんだ、すばらしいんだ
たまには、ゆっくりと、しっかりと自分自身をみつめてみよう
そして、
認めてやろうよ、私のことを
誉めてやろうよ、私のことを
讃えてやろうよ、自分のことを
私にもっとありがとう
私に感謝、ありがとう
 
この話のまとめとして、企業人として、人として大成功を収めた松下幸之助の言葉をつけ加えます。
世界に知られる総合電器メーカーのパナソニック社を築かれた松下幸之助さんは、こう話されています。
 
「人は感謝の心が高まれば高まるほど、それに正比例して幸福感が高まっていく。」
 この言葉は、自分への感謝が、幸福に繋がるということを示唆しています。
今日卒業する全員が幸福になってくれることを私は信じています。
 
いよいよ、お別れの時がきました。
本学園を卒業される皆さんは、旧制高校を含めると本校85年の歴史のうち、僅か3年を過ごしたにすぎません。
しかし、その期間は短くても、明らかに一人ひとりがこの大阪成蹊女子高校の歴史の中で学び、成長しました。
母校での学びと成長を自己の宝として、更にりっぱな社会人として成長することを期待しています。
 
本日は皆さんの大切な卒業式ですが、実は私の41年間の高校教員と大阪成蹊女子高校での5年間の校長を卒業する日でもあります。
本校での5年間の思い出を宝物として、4月から大阪成蹊短期大学の学長として、引き続き多くの生徒の皆さんと関わり、本学園の発展に微力ながら参画してまいります。
皆さんが卒業された後も、大阪成蹊学園の伝統の灯は耐えることなく、更に輝き続けることでしょう。
本学園が未来にわたって輝き続けるということは、卒業される皆さんが、光り輝くことでもあります。
改めて、ご卒業おめでとう。そして、皆さんさようなら。
旅立たれる皆さんのご多幸を心からお祈りして、お別れの式辞とします。
 
平成30年2月23日
大阪成蹊女子高等学校長 紺野 昇
 
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